【日常】
▼ 2004/06/21(月)
【日常】
■ブリジット・オベール『死の仕立屋』
悪乗りするのがオベールである。デフォルメされた人物描写に、身も蓋もなく暴走するストーリー。この本も、そういうオベールらしさでいっぱいだ。ただし、ラストの破壊力は続編の存在を前提としているだけに、ほかの作品に比べると力不足。もっともこの作者の場合、続編が前作と同じような話になることは決してないのだが。
▼ 2004/06/17(木)
【日常】
■ティエリー・ジョンケ『蜘蛛の微笑』
ヒドイ話である。何がどうヒドイのかまったく説明できないのが残念だ。
趣向そのものは珍しくないけれど、その仕掛けを成り立たせるための演出が凄惨。実にイヤなイメージが後を引く。強いて言えば、マドンナメイト文庫における友成純一のスプラッタ小説みたいなものか。
これを読んで前屈みにならない男はあまりいないんじゃないだろうか。傑作。でも何度も読み返したくない。
▼ 2004/06/14(月)
【日常】
■帰宅後は「このミス」大賞応募原稿ばかり
読んでいるので、読書時間がほとんど通勤電車内に限られてしまっている。
とりあえず、最近読んだものの感想をいくつか。
- 『夜の回帰線』マイケル・グルーバー
- 新潮文庫からもうすぐ刊行の予定。
"秘境"の呪術が現代都市を侵犯する物語。長すぎると感じる部分もあるけれど、キャラクター造りは印象に残る。 - 『蹴りたい田中』田中啓文[isbn
- 4150307628]:駄洒落もここまで徹底すればひとつの論理体系になってしまう。楽しい脱力感でいっぱいだ。
- 『禁じられた楽園』恩田陸[isbn
- 4198618461]:『パノラマ島奇譚』へのオマージュとは言われているが、居心地の悪さ(あるいは不安)を感じさせる本書のベクトルは、むしろ『パノラマ島奇譚』の逆を向いているのでは。パノラマ島は居心地のよい"楽園"だったのだ。たとえ世間から見れば猟奇的であっても。
もっとも、同じ方向を向いていないだけに、ホラーとしては非常に楽しく読むことができた。